
その悔しさは、私の全部の出発点になったものだよ。
英語が話せなくて悔しい。恥ずかしい。情けない。——そういう気持ちで検索して、ここに来たんだと思う。
まず言っておきたい。その気持ちは、消さなくていい。
私は英語が通じる島に2年住みながら、ほとんど話せないまま帰ってきた人間だ。そのとき残った悔しさが、その後の語学留学も、イギリスの大学院も、全部の出発点になった。
この記事では、なぜ悔しくなるのかを分解して、その気持ちをどう使えばいいかを書く。「気にしなくていいよ」という慰めは書かない。気にしているからこそ、動けるからね。
私が2年かけて味わった悔しさの話
きれいごとから入りたくないので、自分の話から書く。
英語が通じる島で、2年間コンピュータを教えていた
私は青年海外協力隊として2年間、大洋州の島国でコンピュータを教えていた。その島は英語が通じる土地だった。
つまり、できないのは完全に私の側だけだったんだ。相手は普通に話している。私だけが受け取れない。
仕事は回ってしまった。それが余計にきつかった
教える仕事は、英語ができなくてもある程度回った。画面を指させば伝わる。手を動かして見せれば伝わる。
言葉が満足に通じなくても、気持ちは通じる。それはあの2年で学んだ本当のことで、いまでも私の財産だと思っている。
でも、回ってしまうからこそ、伝えられなかったことの重さが後から効いてくる。その場は何とかなった。何とかなったまま、2年が過ぎた。
任期の終わりに残ったもの
帰る頃になって、私はこう思った。
もし英語ができていたら、もっと良い活動ができたはずだ——と。
伝えたいことの半分も伝えられなかった。相手の言葉も半分しか受け取れなかった。2年という時間をもらっていたのに、そこを埋められなかった。
この悔しさは、いま思い出しても少し苦い。でも同時に、私にとって一番大きな財産にもなったんだ。
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なぜ「悔しい」と感じるのか
気持ちを分解しておくと、扱いやすくなる。私の場合はこの3つだった。
1|伝えられる中身は、頭の中にあるから
これが一番大きいと思う。
何も考えていない人は、話せなくても悔しくならない。言いたいことがあるのに、出せないから悔しいんだ。
私も、伝えたい内容そのものは持っていた。現場で見てきたこと、気づいたこと、提案したいこと。それが英語という一点で止まっていた。
だからこの悔しさは、中身がある人にしか起きないとも言える。そう考えると、少し見え方が変わらないかな。
2|実際の自分より、低く見られるから
これも痛い。
英語が出てこないと、言える範囲の短い文で話すことになる。すると中身の薄い人だと思われる。
私はイギリスの大学院でも、これをずっと感じていた。考えていることは他の学生と変わらないつもりなのに、口から出るものが幼くなってしまう。この差がしんどいんだ。
3|時間が減っていくのが分かるから
そして3つ目。
その場をやり過ごすたびに、使えたはずの時間が消えていくのが分かる。
私の2年は、まるごとそれだった。だから悔しさは、後になるほど重くなっていった。
悔しさの使い道|私はこう使った
1|そのまま決断の燃料にする
私の場合は単純だった。その悔しさが理由で、語学留学を決めた。それだけだ。
「英語ができるようになりたい」という漠然とした願望では、たぶん動かなかったと思う。
でも「あの2年をやり直したい」という具体的な悔しさがあったから、仕事も生活も動かして出ていけた。
2|冷めないうちに使う
これは正直に書いておきたい。悔しさには賞味期限がある。
時間が経つと「まあ何とかなったし」に変わっていく。そうなると、もう動く力にはならない。
だから、いま悔しいと思っているなら、その気持ちが冷めないうちに、何か一つ手を動かしたほうがいいと思う。大きな決断でなくていい。小さくても、始めてしまうことに意味がある。
3|「何ができなかったか」を具体的に書き出す
漠然と「英語ができない」だと、どこから手をつければいいか分からない。
私の場合は「伝えたいことの半分も伝えられなかった」だった。つまり聞く力より、話す力のほうに困っていた。
君の悔しさも、分解すればどこが原因かが見えるはずだ。聞き取れないのか、口から出ないのか、そもそも話す場に入れないのか。そこが分かれば、やることは決まってくる。
明日からできる、小さな一手
悔しさを燃料にする、と書いた。でも「留学しろ」と言われても、すぐには動かせないよね。だから、小さくて確実な一手を書いておく。
1|口から出す時間を、10分でいいから作る
英語に触れた時間ではなく、自分が口から出した量を増やす。
私が島での2年で伸びなかった理由は、まさにここだ。聞く機会はいくらでもあったのに、話す機会を自分で作っていなかった。
読む・聞くだけの勉強は、悔しさを解消してくれない。悔しいのは「出せないこと」なのだから、出す練習をするしかないんだ。
2|失敗しても何も起きない場所を選ぶ
いきなり仕事の場で挑むと、失敗の代償が大きすぎる。
先に、間違えても誰も困らない場所で慣れておくほうがいい。いまはオンラインで話す相手をいくらでも作れる。私の頃とは事情がまるで違うよ。
3|「分からない」と言う練習から始める
意外に思うかもしれないけれど、私はここを勧める。
留学の全部を振り返って、いちばん役に立ったのは「分からない」と聞き返せるようになったことだった。
難しい単語でも、きれいな発音でもない。分からないときに黙らずに済むようになるだけで、その場に留まれる時間がまるで変わるんだ。
4|完璧な文を作ろうとしない
最後に、島での2年で学んだことをもう一度。
言葉が満足に通じなくても、気持ちは通じる。
正しい文が作れないから黙る——これが一番もったいない。単語を並べるだけでも伝わることは、私が2年かけて確かめてきたことだからね。
「気にしなくていい」とは書かない理由
この手の記事では「恥ずかしがらなくていい」「気にしないで話そう」と書かれがちだ。でも私はそう書かない。
気にしているから、ここまで来ている
君はいま、悔しいと思って検索してここまで来た。それは、英語に本気になっている証拠だ。
気にしないでいられる人は、そもそも調べない。その気持ちを消してしまったら、動く理由まで一緒に消えてしまう。
ただし、自分を責めるのとは違う
そのうえで、線は引いておきたい。
悔しがるのはいい。自分を責めるのは、何も生まない。
私が2年で英語を身につけられなかったのは、私の頭が悪いからではなかった。英語を使わなくても一日が終わる場所にいたからだ。原因は自分の能力ではなく、置かれた環境と過ごし方のほうにあった。
そこが分かると、責める代わりに変えるべきものが見えてくる。
そして、遅くはない
念のため書いておくと、私が本気で英語と向き合い始めたのは30歳を過ぎてからだ。学生時代に頑張った人間ではない。
そこから語学留学に出て、TOEICは約600点から約800点、対策をして900点まで動いた。その先でイギリスの大学院に進んで、教育開発学を1年半学んで修了した。
2年を無駄にした人間でも、そこからは動いた。いま悔しいと思っているなら、それは出発点に立っているということだよ。
悔しさが消えるわけではない、という話
都合のいいことだけ書きたくないので、これも書いておく。
900点を取っても、悔しい思いはした
イギリスの大学院に入ったとき、私はTOEIC900点を持っていた。正直「もう英語では困らない」と思っていたんだ。
そんなことはまったくなかった。
教室にいたのは世界中から来た学生で、私の英語力はその中では低い方だった。特にドイツから来ていた学生は、私とは比べものにならないくらいできた。
議論に入りたいのに、言葉を組み立てている間に話が先へ行く。読む速さも書く量も、日本語のときとは比べものにならないほど時間がかかった。
でも、悔しさの質が変わっていた
ただ、島にいた頃とは違うところがあった。
島での悔しさは「何もできなかった」という悔しさだった。大学院での悔しさは「もっとできたはずだ」という悔しさだ。
同じ言葉でも、中身が違う。前に進んでいる人の悔しさに変わっていたんだ。
だから悔しさが無くなる日を目指さなくていいと私は思う。無くならない。ただ、その中身は変わっていくよ。
まとめ|英語が話せなくて悔しい君へ
整理しておくよ。
その悔しさは、消さなくていい。言いたいことがある人にしか起きない気持ちだからだ。何も考えていない人は、話せなくても悔しくならないからね。
私は英語が通じる島に2年住みながら、ほとんど話せないまま帰ってきた。「もし英語ができていたら、もっと良い活動ができたはずだ」——そのとき残った悔しさが、語学留学も、イギリスの大学院も、全部の出発点になった。
だから使い道はこうだ。冷めないうちに使うこと。そして「何ができなかったか」を具体的に書き出すこと。漠然と悔しがっているだけでは、どこから手をつければいいか分からないままになる。
ただし、悔しがるのと自分を責めるのは違う。私が2年で身につけられなかったのは頭の問題ではなく、英語を使わなくても一日が終わる場所にいたからだ。原因は環境と過ごし方のほうにある。
最後に一つ。私が本気で英語と向き合い始めたのは30歳を過ぎてからだ。2年を無駄にした人間でも、そこからは動いた。いま悔しいと思っているなら、それは出発点に立っているということだよ。
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合わなかったら、やめればいいだけだから。
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