
私は渡航して3か月、本当に何も聞き取れなかったんだ。
TOEICのリスニングが聞き取れない。音は流れているのに、言葉として入ってこない。——その状態でここに来たんだと思う。
私も同じところにいた。しかも試験の話ではなく、実際に海外にいてそうだった。ニュージーランドに渡って最初の3か月、私は本当に何も聞き取れなかった。教室で愛想笑いをしていた記憶しかない。
そこから1年かけて耳が変わって、帰国後にTOEICの対策を何もせずに受けて約800点になった。その前は約600点だから、200点は耳と読む力そのものが伸びた分だ。
この記事では、なぜ聞き取れないのかを分けて、どういう順番で耳が変わっていくのかを書く。そのうえで、試験としてのリスニングをどう解くかも書くよ。この2つは別の話だからね。
リスニングを毎日の習慣にするなら(スタディサプリENGLISH)
なぜ聞き取れないのか|原因は3つに分かれる
「聞き取れない」とひとくくりにすると、対策が決まらない。まず分けよう。
- ①音として拾えていない(そもそも何の音か分からない)
- ②音は拾えるが、意味が追いつかない(処理が遅い)
- ③意味は取れるが、覚えていられない(記憶が持たない)
①音として拾えていない
単語は知っているのに、音になると分からない。これが最初の壁だ。
英語は語と語がつながって、別の音になる。文字で見れば知っている言葉が、音では初めて聞く音の塊になっているんだ。
私の最初の3か月は、まるごとここだった。知らない言語を聞いている感覚に近かったよ。
②音は拾えるが、意味が追いつかない
次の段階。音は聞こえるようになったのに、意味を取っている間に次が来る。
頭の中で日本語に訳しているうちは、まず追いつかない。訳す作業を挟むかぎり、速さでは勝てない。
③意味は取れるが、覚えていられない
最後の段階。聞いた瞬間は分かるのに、設問を読む頃には忘れている。
これは試験特有の問題で、英語力より解き方の問題だ。後で書く先読みで、かなり解決する。
自分がどこにいるかで、やることが変わる
①なら音に慣れる時間が要る。②なら訳す癖を外す。③なら解き方を変える。
ここを分けずに「リスニングの勉強」とだけ考えると、遠回りになる。
私の耳が変わっていった順番
1年のあいだに何が起きたかを、順に書く。
最初の3か月|何も聞き取れない
渡航直後の私は、本当に何も聞き取れなかった。教室で愛想笑いをしていた記憶しかない。
このとき私はTOEIC約600点を持っていた。読めば分かる600点で、音になった途端に落ちる——そういう中身だったんだ。
点を持っていても、耳は別に育てる必要がある。これが最初に思い知ったことだった。
半年あたり|話の筋が見えるようになる
変化を感じたのは、半年を過ぎたあたりだ。
全部の単語が聞こえるわけではない。でも「何の話をしているか」の筋が見えるようになった。
これが大きかった。筋さえ分かれば、単語が2つ3つ落ちても話にはついていける。逆に言えば、それまでの私は単語を拾おうとして、筋を見失っていたんだ。
1年後|対策なしで約800点
帰国して、試験の勉強を1問もせずに受けて約800点。600点からの200点は、この1年で耳と読む力が伸びた分ということになる。
リスニングは、試験の技術より英語そのものが効く場所だと私は思っている。だからこそ、耳が育てば点は素直に動く。
ただし、900点を取った後も聞き取れないことはあった
都合のいいことばかり書きたくないので、これも書いておく。
その後、対策をして900点まで取った。それでもイギリスの大学院では、速い議論についていけないことが何度もあった。
世界中から来た学生の中で、私の英語力は低い方だった。試験のリスニングが解けることと、実際の会話が聞けることは、まだ別だったんだ。
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【Aceからひとこと】
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音として拾えるようになるために
1|スクリプトを見てから、もう一度聞く
私が効いたと思うのはこれだ。
分からなかった音を、文字で確認する。そしてもう一度同じ音を聞く。
そのとき「ああ、この音はこの単語だったのか」と結びつく。この結びつきの数が増えることが、聞き取れるようになるということだと思っている。
2|知らない音より、知っている単語の聞こえ方を潰す
聞き取れない原因は、知らない単語より知っている単語が違う音に聞こえることのほうが多い。
だから新しい単語を増やす前に、すでに知っている単語が音でどう聞こえるかを確かめるほうが早い。
3|量を確保する。ただし聞き流しでは足りない
耳が慣れるには時間がかかる。私も3か月は何も聞こえなかった。
ただしただ流しているだけでは、あまり変わらないというのが私の実感だ。分からなかった箇所を確認する作業とセットにしないと、同じところで落ち続ける。
4|訳す癖を、意識して外す
②の段階に来たら、ここが課題になる。
日本語に置き換えている間に次の文が来る。英語の順番のまま、意味の塊で受け取る——これができると急に楽になる。
私の場合、半年あたりで「筋が見える」ようになったのは、たぶん訳す作業が減ったからだと思っている。
試験としてのリスニングを、どう解くか
ここからは、英語力とは別の「解き方」の話だ。この2つは分けて考えたほうがいい。
1|設問と選択肢を、音が流れる前に読む
いわゆる先読みだ。これが一番効く。
何を聞かれるか分かっていれば、その情報だけを待ち構えて聞ける。全部を平等に聞こうとすると、まず処理が追いつかない。
先ほど書いた「③覚えていられない」も、これでかなり解決する。覚えるのではなく、必要なところだけ拾えばいいからね。
2|聞きながら選ぶ。後で考えない
音が終わってから悩むと、次の先読みの時間が消える。
迷ったら決めて、次に行く。1問に引きずられて、その後の数問を落とすほうが損だ。
3|聞き取れなかった問題は、捨てる
これも大事だ。分からなかったものは、考えても分からない。
塗り残しだけは作らない。決めて、次の先読みに時間を回すほうが点になる。
4|写真や図がある問題は、先に見ておく
目で取れる情報は、先に取っておく。
音が流れている間に見るものが減るほど、聞くほうに集中できる。
★注意|細かい形式は、必ず公式で確かめて
各パートの問題数や時間について、この記事では数字を書かない。
形式は変わることがあるし、私が受けた頃と同じとは限らないからだ。そこは試験を運営している団体の公式の案内で確かめてほしい。
リスニングでやりがちな遠回り
遠回り1|聞き流しだけで済ませる
これが一番多いと思う。私も最初はこれをやっていた。
流しているだけでは、分からない音は分からないまま通り過ぎる。何度聞いても、同じところで落ちる。
分からなかった箇所を文字で確認して、もう一度聞く。この確認とセットにしないと、時間だけが過ぎていくよ。
遠回り2|全部聞き取ろうとする
私が最初の3か月でやっていたのがこれだ。
単語を一つずつ拾おうとして、話の筋を見失っていた。
半年あたりで変わったのは、全部聞こうとするのをやめてからだと思う。2つ3つ落としても、筋が追えていればいい。
遠回り3|速い音源ばかり聞く
速いものに慣れれば強くなる、という考え方もある。でも音として拾えていない段階でそれをやると、ただ疲れるだけだった。
いまの自分が7割くらい分かるものを選ぶほうが、私には効いた。
遠回り4|本番でしか時間を計らない
これは解き方の話だ。
先読みは、時間の中でやって初めて意味がある。ゆっくり練習していると、本番で先読みが間に合わない。
遠回り5|点が動かないとすぐ教材を替える
耳は、時間をかけないと変わらない。私も3か月は何も聞こえなかった。
その時期に「合っていないのかも」と替えてしまうと、どれも中途半端なまま、また最初からになる。
変わらない時期は必ずある。そこは、そういうものだと思って越えるしかないよ。
リスニングは、伸ばした分が素直に返ってくる
最後に、私がリスニングをどう見ているかを書いておく。
点と英語力が、いちばん近い場所
私は「英語力とTOEICの得点は、必ずしも連動しない」といつも書いている。
でもリスニングに関しては、比較的よく連動すると思う。耳が育てば、点は素直に動く。
その証拠が、私の600点から約800点だ。試験の勉強を1問もしていないのに動いた。これは耳と読む力そのものが伸びたからとしか説明がつかない。
だから、時間をかける価値がある
文法や解き方は、慣れれば短期間で乗る。でも耳は、時間をかけないと変わらない。私も3か月は何も聞こえなかった。
逆に言えば、時間をかけた分は確実に残る。試験のためだけの技術と違って、耳は実際の会話でもそのまま使えるからね。
それでも、聞き取れない日は来る
そして最後にもう一度。
私は900点を取った後も、大学院の教室で議論についていけないことが何度もあった。試験が解けることと、生の会話が聞けることは、まだ別だ。
そのときに私を助けたのは、聞き取る力ではなく「いまのところをもう一度」と言えることだった。
聞き取れるようになる努力と並行して、聞き取れなかったときにどうするかも用意しておくといい。そこは点では埋まらないからね。
まとめ|TOEICのリスニングが聞き取れないとき
整理しておくよ。
「聞き取れない」は3つに分かれる。①音として拾えていない ②音は拾えるが意味が追いつかない ③意味は取れるが覚えていられない。①なら音に慣れる時間、②なら訳す癖を外す、③なら先読み。やることがまるで違う。
私は渡航して最初の3か月、本当に何も聞き取れなかった。半年あたりで話の筋が見えるようになり、1年後には試験対策を1問もせずに受けて約800点になった。
だからリスニングは、点と英語力がいちばん近い場所だと思っている。耳が育てば点は素直に動くし、伸ばした分は実際の会話でもそのまま使える。
解き方としては、設問と選択肢を音が流れる前に読むことが一番効く。何を聞かれるか分かっていれば、それだけを待ち構えて聞けるからね。
ただし、900点を取った後も私は大学院の議論についていけない日があった。試験が解けることと、生の会話が聞けることは、まだ別だ。そこは「いまのところをもう一度」と言えるようにしておくしかないよ。
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